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写真展「ビルマ・風力1」

日 程 4月25日(土)から5月24日(日) 9時〜19時
場 所 汐留メディアタワー3階 ギャラリーウオーク
(新交通ゆりかもめ汐留駅改札口左手すぐそば)
    会期中無休 無料

 ビルマの写真。
10年、5回、のべ4ヶ月で撮った内から抜いて並べるモノクロ写真。
2007年民主化運動とその鎮圧、2008年サイクロン被災以降の写真はない。
それ以前の写真。
はじめての時。
首都ヤンゴンからバガンには夜行列車でむかった。
エアコンはなく、窓はあけっぱなし。
車輌は左右だけでなく上下にも激しくゆれる。
夜中に、ドサッと何かが落ちてきた。
アミダナから荷物でも落ちてきたのかと、それを手にして思わず、ギエーッ。自分のにぎりこぶしよりも大きな甲虫であった。あとで確かめようとしたが、誰もそんな虫は知らないと言う。
??? う〜ん、ビルマ。
ふところ深し。
ちなみに、わたしはおとなだから「ギエーッ」とは声には出さなかった。
それと、帰国してからこの話をしたわたしはうそつきと呼ばれはじめた。
入国審査を終わらせて、第一歩。
どこの国ででも空港にはタクシーが客待ちしている。既に友人の域のつきあいとなったドライバーの名前を言う。
聞かれた人間がうしろの仲間に聞く、
「やつはどこだ?」と。
その彼の名前の連呼の輪が、またたく間に空港ロビー中にひろがり、やがて出入り口から外にまで波紋してゆく。
連呼する人の動き方でそれがわかる。
そのさまは感動的である。
ああ、ビルマに来たんだ、とわたしは思った。
彼がいないことがわかったのだが、そのまま終わることはなかった。
一台のタクシーに乗れ、と言われる。どういうことか聞く前にひとりが言った。
「やつは今、ダウンタウンだ。すぐもどってくるからそれまでやつの家で待っていてくれ」
着いたところで、ドライバーにチャット紙幣を差し出すと、
「要らない。おまえはやつの客だ。もし、もらうとしてもおまえからじゃない、やつからだ。
問題ない」 だと。   かっこいいって!
地方都市の夜はあかりが少ない。
電柱があっても電気が通っているとは限らない。
まっくらな通りで寺院の入り口付近だけが明るい。
発電機がお布施で動いているのだ。
さほどの電力でなくとも闇に馴れた目にはまぶしい。
人出は、ある。
充満した人の群が通りでごにょごにょうごめ蠢いている。
暗くても街は刺激的だ。
家にいてもむし暑いし、なにもすることもないし、みんなで外をぶらつくか…、と私は想像するのだが。
とにかく、群衆が行列のかたちにうごめ蠢いている。
その頭上、パゴダだけ、下から照らし出され、金色に輝いている。
暑い夜なのだが、あおぎみているとそこだけすずやかに感じる。
地図の上の話である。
首都ヤンゴンから船でエヤワディーデルタをさかのぼってゆくとピィという町に行きつく。
更に遡上するとバガンにも通じている。
ピィ。
日本語の語感からすると、なにやら人をこばかにしたような音だが、原初的な響きに聞こえなくもない。
そんなピィに東南アジアで一番古い建築が残っている。
この実に単純なシルエットの巨大な仏塔。
装飾は、ない。
ふつうの人間なら、何か付け足したくなるほど見事なまでに、なんにもない。
写 真・文  郡司 勲