イタリア公園開園式
  Giardino all'italiana
ispirato allo stile rinasimentale toscano


イタリア庭園 - トスカーナルネッサンス様式 - の実現
東京 汐留
「日本におけるイタリア 2001-2002 年財団」は1999年10月4日に設立された共営財団の法原則に従う、半官半民の非営利団体です。日本におけるイタリア 2001-2002 年財団は1999年11月26日発令の外務省政令によって法人認可され、1999年12月31日発行の官報306号にその旨が記されています。
幅広い範囲で事業を展開するため、外務省のコーディネートと会長ウンベルト・アニェッリの指揮の元、6つの官公庁(特に文化省、生活産業省)、イタリアの主な州、自治体、ICE、ENIT、主要な文化団体を巻き込み、今回始めて「共営財団」という形が取られました。財団には数多くの民間会社も参加しています。

「財団」の事業内容は、日本の大衆に対するイタリアのイメージアップを図ることを目的とした、様々な分野での総合的なイベントから成る、“日本におけるイタリア 2001-2002 年”の運営でした。「財団」はイタリア年を特徴づける一連のイベントのオーガナイズとコーディネートを担当しました。

実現された約800のイベントのうち、最も特徴的なものを代表するのは疑いなく、二国間の友情の永遠の証として残るイタリアから日本への寄贈品、「イタリア庭園」と言えましょう。

この事業は、皇族の方々のイタリア文花に対する並々ならぬご関心と、皇后妃殿下をピストイア市に結びつける特別な関係 -1993年のイタリア公式訪問の際における妃殿下のご希望によるピストイア訪問でも証明されています- にも端を発しています。財団会長ウンヴェルト・アニェッリは、昨年10月の謁見の際に、妃殿下に造園計画を先立って直にお伝えする機会を得ました。

1995年より宇都宮市の姉妹都市となったピエトラサンタ市にて活動する、日本人芸術家コミュニティーも数多く存在します。

日本関係当局との合意により、東京の中心に位置する土地の使用が可能となりました。「イタリア庭園」は、310,000m2に及ぶ土地において2006年完成予定で再開発計画が進められている港区汐留に造園されます。
わずか数百メートルという距離の場所では、「チッタ・イタリア」と命名されるイタリア関係企業が集合する建物群の実現計画が進んでいます。

港区には、イタリア大使館事務所・大使公邸を含む多くの外交機関が存在します。
汐留は東京湾に面しており、東京都でも最も古く重要な庭園のひとつである浜離宮からもほど遠くない場所に位置しています。また北に銀座、東に浜離宮、南に浜松町、西に新橋と、東京の中心と呼べる場所に容易にアクセスできます。
近くには東京タワーもあります。

様々なテーマと関係者を巻き込んだ造園計画は、資金調達(約663,000ユーロ)、港区自治体・汐留街づくり協議会との関係調整等、数々の難題に直面し、長い準備期間を経ました。

資金分担は以下の通り:
日本におけるイタリア財団(310,000ユーロ)、トスカーナ州(203,000ユーロ)、
ピストイア市(25,000ユーロ)、ピストイア県(25,000ユーロ)、
ピストイア商工会議所(25,000ユーロ)、ピストイア造園協会(15,000ユーロ)、
ピエトラサンタ市(30,000ユーロ)、東京イタリア文化会館(30,000ユーロ)、
イタリア貿易振興会(9,000ユーロ)

造園産業と大理石加工業において、ピストイアとピエトラサンタはヨーロッパ内でも主要な産業地区と見なされています。

日本側関係当局との交渉の結果、造園計画実現に関し、以下の基本的合意内容に達しました。
- 庭園は純粋なイタリア様式とする
- メンテナンスは日本側が担当する
- 庭園はイタリアのイメージプロモーションイベントに使用することができる
- 東京の騒音公害を効果的に抑制する工事を計画する

ピストイア市当局を通じて、設計計画は古典的トスカ−ナ庭園案を提出したガーデン・ゼラーリ社に委託されました。
最大の難問のひとつは、庭園の伝統に可能な限り忠実であるためには不可欠な、シンメトリーと調和を尊重しつつ、限られた土地を利用して都会の真っ只中に庭園を造ることでした。
自然の形態を統制するというルネサンス精神は、使用植物の装飾的な刈りこみという形で表現されました。
主に東京の気象条件と栽培管理の容易さという理由から、庭園の外周と内部の装飾に使用する低木は“アイレックス・クレナータ”が選ばれました。

「イタリア庭園」造園地は、公共緑地区域2ケ所の間に位置する、面積2200m2の長方形型の土地です。遠近法効果を得るため、長い辺の1辺には、各々大理石の土台に乗った、一連のトスカーナ風柱頭付き円柱が並べられました。
短い辺のうちより重要な1辺には、河石の上に乗ったカラーラ産大理石製の彫像が立つ噴水が設置されました。
より高い遠近法・装飾効果を得ることを目的として、高さ2.50mの生垣でできた外周に沿い、土台付き彫像を並べるための11のくぼみも製作されました。これらの像は、ピエトラサンタの職人と彫刻家の作品です。
庭園内部の小道沿いには装飾付きの壷・鉢、セレーナ石製のベンチが並べられます。また中心部にはセレーナ石タイルとレンガの平縁を用いて、放射線柄の円形広場が造られます。同種の鋪装は噴水前にも半円状で敷かれることになります。
夜間照明にも特別な注意が払われ、電灯は鋳鉄製の伝統的なものが設置されます。

調度用の材料は全てこの分野で長い伝統を誇るイタリアの主要な企業から仕入れられ、特に彫像の調達には特別な配慮が払われました。

造園作業は、長年造園事業と都市デザインに携わり、またイタリアの風景主義建築家との協力経験もある前田環境美術株式会社に委託されました。今回は三井物産グループの一員である三井物産林業株式会社とのジョイント・ベンチャーとなります。
前田環境美術株式会社が提出した見積もりは、鹿島建設社の審査を受けました。鹿島建設は日本最大手企業のひとつであり、イタリア政府の委託を受けて伊大使館新事務所建設、東京の新イタリア文化会館建設を担当している会社です。
見積もりに示された金額は妥当と考えられ、中には通常市場価格よりも安価な場合も見られました。契約内容は工学分野において著名なイタリア企業の審査を受け、財団理事会幹事であるマリオ・トヌッチ弁護士の協力を得て編纂されました。

この事業は、トスカーナ州が州内に存在する庭園の再評価を目的として推進する、文化事業の一部を成すものです。トスカーナ州は「トスカーナの庭園」という貴重な本を出版しましたが、これは日本語にも訳され、東京で2001年8月に行われた日本におけるイタリア展示会の際にも紹介されています。

イタリア美術.自然に対する日本人の情熱からしても、イタリア庭園は人を引き付け、イタリアの活力と文化の永続的な印を刻む場所になるはずです。

落成式は本年10月の後半が予定されており、政府とトスカーナ州当局の関係者、財団会長ウンベルト・アニェッリ、ピストイア、ピエトラサンタ自治体の市長らが参加の予定です。

財団は今まで通り、定期的に落成式までの工事状況情報を関係者らに対し提供しつつ、庭園完成を保証することに努めて行きます。